忍者ブログ
燈火小島の「特撮2次創作」の小説群。原作・制作者様とは無関係。勝手な空想の産物です。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 お題配布サイト「追憶の苑」さんから、お題を借りてきました。特撮系とオリジナルでこなしていこうと思います。燈火島時代にアップしていたものも、いくつかサルベージ予定。

17:死に損ないの身体
 (仮面ライダー響鬼/第44話終了後)
ザンキさんメイン。独白調。

 返魂の術。死後も魂を身体に留め、やがては外道へと腐り落ちていく外法。禁じられた呪術だ。
 それを自らに施した。
 悔いはない。これしかできることがない。戦う力は著しく低下し、浄めの現場でも足手まといにしかならない。
 限界は近いだろう。
 だから。
 だから、禁呪と承知の上で術を施した。
 腕に描いた呪を見下ろし、低く笑う。吉野に残る家族が――弟が見たら、何と言うだろう。禁呪をよく知る青年が知ったら、一体どんな顔をするだろう。ともに戦ってきた鬼たちは、一体何を思うだろう。軽蔑するだろうか。嫌悪されるだろうか。
 願わくは、それがトドロキに向かぬように。

 目覚めた時、己が死したことを知った。体がきしむ。ゆっくりと起きあがる。
 ふと見ると、側には烈風が投げ出されていた。
 威吹鬼が看取ってくれたのか。鬼として生まれ、鬼として育てられたイブキが、大切な音撃管を置き去りにするほど、とり乱してくれたのか。
 彼でよかったと、なぜか思った。わずかな笑みが浮かぶ。
 ザンキは死んだ。意識の残滓が執着する肉体は、転げるように邪道へと落ちていくだけ。時間はない。再びの目覚めは、もう2度とない。
 残されたわずかの時間で、必ずトドロキを救ってみせる。
 それが、師としてできる最後のこと。
 できれば、彼自身の手で鬼払いはさせたくない。だから、わずかな時間も無駄遣いはできない。
 意を決し、歩き出す。
「俺は死なん……まだ、死ねない」
 裸足だというのに、踏みしめた河原の感覚は、まったく感じられなかった。

*  *  *

 燈火島よりサルベージ。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
[47]  [45]  [44]  [42]  [41]  [40] 
最新CM
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
HN:
後藤 秋楽
年齢:
42
HP:
性別:
女性
誕生日:
1982/10/20
職業:
事務
趣味:
読書、ふらり旅、ネトゲ
自己紹介:
 特撮大好き。特にライダー。
フリーエリア
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ [PR]